非上場株式・少数株式トラブルの解決事例1【鳥飼製作所事件(仮称)】
2017年9月18日
最終更新日時 :
2024年9月11日
弁護士土屋勝裕
非上場株式・少数株式トラブルの解決事例1【鳥飼製作所事件(仮称)】
非上場株式・少数株式トラブルについて、裁判所に株価決定申立を行った事例は多数存在し、裁判所の株価決定申立において、どのような要素がどのように考慮され、また、裁判外での交渉を行った事例については、どのような要素を考慮されどのような経緯をたどって、実際の株価決定や株価合意に至ったかについて、ここで解説をさせて頂きます。
事例
創業者の一族で元取締役が、数パーセントの株式を保有していたが、現在は退社しているので、現在の社長(創業家外)から、その株式は配当還元法に基づく買取価格でしか株式を買い取ることはできないと言われてしまった例
依頼者
創業者の一族で元取締役(数パーセントの株主)
相手方
会社及び現在の社長(創業家外)
事案の概要
創業家が支配権を失い、現在の社長(創業家外)が保有株式は少数ながら事実上の会社支配権を保持し、創業者の一族で元取締役が、会社又は現在の社長(創業家外)に対して、保有株式の買取り又は第三者への譲渡を認めるよう求めていた事案。
会社及び現在の社長(創業家外)は、不当にも、創業者の一族で元取締役に対して、従業員と同列に扱い、従業員持ち株会では、退社時に額面で会社が買い取る旨規定されているので、創業者の一族で元取締役も退社時に額面で会社に譲渡する必要があると主張していた。
このことをきっかけとして、創業者の一族で元取締役の株主の地位確認及び株式の時価での買い取り交渉を依頼された。
結果
訴訟・仮処分を申し立て、並行して相手方と交渉した結果、裁判所からの和解勧告に基づき、おおむね、時価純資産価格と収益還元価格の双方を均等程度に考慮した価格で、会社が買い取ることとなった。
※なお、事件名はあくまで仮称であり、実際の当事者や実際の事件名とは異なったものを使用し、かつデフォルメしている。