少数株式を処分・買取請求したい!

少数株式を処分・買取したい!

少数株式」という言葉をご存知でしょうか。株式を持っているというと、「この人は投資をしているんだな」と思ったり、「株主として会社経営に携わっているのかな」と思ったりするかもしれません。しかし、少数株式の場合、必ずしも意図的に株式を所有していたり、経営に携わっていたりするわけではないのです。むしろ処分したいのに、なかなかできないと悩んでいる人もいます。そこで今回は、少数株式の概要とその処分方法について解説します。

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少数株式とは?

まずは、少数株式がどのようなものなのか、その概要から確認していきましょう。

少数株式とは企業の株式のうち、少数の株を持っている人のことです。簡単にいうと、親会社以外の株主がそれに該当すると言えます。会計の専門用語として使用されることが多く「少数株主」という言い方をすることもあります。

一般的に、会社に出資する場合、1つの会社や機関が全額出資する場合と、複数の会社や機関、個人が部分的に出資し合う場合があります。少数株式保有者は後者のケースに発生することになるのです。

実際に少数株式を保有している人でなければ、なかなか馴染みのある言葉ではないかもしれませんが、意外と少数株式保有者は多く存在します。基本的に、日本の多くの企業は、非上場企業であり、ほとんどの株は非上場株式ということになります。非上場株式の多くは少数株式であるため、少数株式保有者が多いというわけです。

少数株式の問題

一般的に株を所有しているとなると、なんとなくすごい人のイメージがあるかもしれません。また、実際に株式所有者の中には株主として会社の経営に携わっている人もいるでしょう。

しかし、少数株式の場合、株主が経営に携わることができないケースは珍しくありません。非上場化企業の株式の場合、換金性に劣る株式も少なくないため、株を所有していることによる利益も得られないこともあります。また、非上場株式は一般的に譲渡するのに制限がかけられており、株式を発行する会社の認可がなければ受け渡しができなのが一般的です。

そこで続いては、これらの少数株式を所有することによる問題点について詳しく解説します。

少数株式を処分・買取したい理由①・・・「株式所有=会社経営に携われる」ではない!

先ほども触れているように、少数株式所有の場合、必ずしも株主として会社の経営に携われるわけではありません。株主として会社の経営に携わるのであれば、どのくらいの議決権を持っているかが重要です。

例えば新しい取締役の決定など、会社の経営に関する重要な意思決定は株主総会によって行われますが、この時力を持っているのはたくさんの株式を所有している人(=議決権を多く持っている人)です。

議決権を多く持っていれば、自分たちの意向に沿った人選ができるので、会社経営にも影響力を持つことができます。一方で、消臭株式所有者の場合、議決権はあってもわずかでしかありません。そのため「あの人を取締役にしたい」と思っても、数の力で負けてしまいます。そうなるといくら株式を持っていても会社の経営に影響力を発揮することができないのです。

少数株式を処分・買取したい理由②・・・配当が受けられない!

株式をする目的の1つに配当を受けるというものがあるかもしれませんが、少数株式の場合、配当を受けられないケースも予想されます。そももそも、配当は会社にそれを払うだけの金銭的な余裕がある時でなければ行えません。これは法律によって定められています。

また、配当を行うことはできる状態にあっても、実際に配当を行うかどうか、どのくらいの金額を配当するのかについては、取締役会や株主総会で決まります。ここで多くの株式を持つ人たちが「配当はしなくていい!」「配当を少なめにしよう!」などと言ってしまえば、やはり配当を受けるとこはできません。ちなみに、配当できるにも関わらず、配当をしない企業は、その利益を役員報酬などにあてていることもあります。

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少数株式を処分・買取したい理由③・・・簡単には売れない!

株を所有する以上、損益は出したくないと考える人は多いでしょう。しかし、先述の通り、少数株式だと配当が受けられず、利益が得られない可能性があります。そうなると、少数株式を所有しているメリットが一切なくなってしまいます。このような事態を避けるためには、株式を売却するしかありません。株を売ることができれば、その時点での株の価格分のお金は手元に入ってきます。

しかし、ここまで紹介してきたように、少数株式はデメリットが少なくなく、売りたくてもなかなか売れない可能性があります。また、少数株式は非上場のケースが多いため、そもそも株式の売買を行う市場が存在しません。

さらに、売買を行う場合、売買自体に対する会社の承認や売買相手に対するが必要になる可能性もあります。中には売買は認めるけど、この相手は認めないといった事態になるケースもあるでしょう。会社にとっては少数株式とはいっても株主の1人となるため、よくわからない人に株を所有されることを快く思わないのです。そのため、企業によっては売却相手選びも重要なポイントになります。

そのほかにも、もし会社が売買することも、買い手のことも承認してくれたとしても、今度は買い手が「その価格は高いから買えない」と言い出す可能性もゼロではありません。

少数株式所有者としては、なんとかして株式を手放したいと考えているケースが多いため、「安い金額でも売却できるのならしてしまおう」と判断する人もいるはずです。

このように少数株式は、売りたいと思っても買い手を見つけたり、会社の承認を得たり、売却価格の交渉を行ったりと、ハードルがいくつも存在します。売却は決して簡単なものではないと覚えておきましょう。

少数株式を処分・買取したい理由④・・・持ち続けると巨額の税金が発生する!

配当が受けられず、経営にも影響を与えることができない少数株式を持ち続けるとどうなるのでしょうか。もしかしたら特に持っていること自体にマイナス面はない、と考える人もいるかもしれません。しかし、実は少数株式を持ち続けることで、所有者が損失を被る可能性があるのです。

それは、少数株主が株を所有したまま亡くなった場合です。手元に残された株は株主の家族や親族が相続することになりますが、この時相続税が発生します。もし、株式の価値が高くなっていると相続税も高額になるので、特にメリットが享受できないにも関わらず高額の相続税を支払うことになってしまいます。

もし、相続人に経済的な余裕がないとなると、税金を納める資金を集めるだけでも一苦労となってしまうなど、切羽詰まった状態が発生する可能性は十分にあり得ます。

なぜ少数株式が発生するのか?!

ここからは、なぜ少数株式が発生してしまうのか、について解説します。そもそも、少数株式を発行する多くの非上場企業は、市場から資金を集める必要がなかったり、創業者の近親者からお金を借りたりして資金繰りができる企業が少なくありません。そのような場合、1人もしくは数人の近親者が株主になるのが一般的です。この状態であれば、少数株式は発生しません。

しかし、様々な理由から従業員などに少数の株式を分散させて所有させることがあります。例えば、多くの株式を所有する株主(主に経営者やその近親者)の相続税対策が挙げられます。

相続税を少しでも抑えるために、所有している株式を従業員に持たせるものの、会社に影響を与えられるだけの株式は所有しているため、少数株主は経営に関与することもできなければ、配当が受けられるかどうかもわかりません。

また相続税対策以外にも、もともとは上場を目指していた会社が、その過程で従業員に株式を分散して所有させたものの、結果的に上場できなかった、といったケースも少数株式が発生する理由として考えられます。

このように、少数株式は株式を所有する本人が積極的に所有しているというよりは、経営者や他の大株主の事情により仕方なく所有しているケースが多いのです。

消極的な理由から少数株主となったものの、特にこれといったメリットを享受できるわけでもなく、売りたいのに買い手が見つからない、もしくは会社が売却を認めてくれないため手放せない、売れたとしても購入価格を下回るため損失が発生する、といったように少数株式は所有しているだけで悪循環に陥る可能性があるのです。

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少数株式を処分・買取する方法とは!?

ここからは、少数株式の具体的な処分方法について解説します。ここでは、少数株式の買い手が見つかった場合の流れと手続きを説明しています。

少数株式の買い手が見つかった場合、少数株主は会社に対して以下の請求を行います。

株式の譲渡承認請求

株式の買い手が見つかり、その人に株式を譲渡したいと考えている場合、会社に譲渡を認めてくれるかどうかの確認を行います。これが、1つ目の株式の譲渡承認請求です。会社は、少数株主から譲渡承認請求が届いてから2週間以内で、譲渡承認をするのかどうかの判断を下し、通知することになります。もし、会社が譲渡承認請求を認めてくれれば、譲渡成立となり、少数株式を処分することができます。

一方で、様々な理由から譲渡を承認しない場合、少数株主は会社に対して、会社もしくは会社が指定する買取人による買取請求を行うことになります。この買取請求を行うと、会社もしくは会社が指定した買取人から少数株式を買い取る旨の通知が届きます。なお、通知は、会社が直接買い取る場合は、譲渡承認を認めない旨の通知から40日以内に、会社が指定した買取人が買い取る場合は譲渡承認を認めない旨の通知から10日以内に通知が届くことになります。

その後具体的な買取価格を決めます。価格は当事者間で決めるのではなく、裁判所に対して、株式価格決定申立をすることになります。この申し立ては、少数株主が会社もしくは指定買取人が買い取る旨の通知を受領した日から20日以内に行わなければいけません。具体的な株式売買価格が決まったら、少数株主は会社もしくは指定買取人から代金を支払ってもらい、売買完了となります。

会社による買取・指定買取人による買取の場合、最初の譲渡承認請求から売買価格の決定まで1ヶ月以上はかかると見込んでおいたほうがいいでしょう。どうしても急いで少数株式を処分したい場合は時間に余裕を持って手続きを進めなければいけません。

少数株式の課税上の留意点

少数株式の売買にあたっては、誰が買い取るのかによって課税の内容が変わってくるので注意しなければいけません。

会社が買い取る場合、売買金額のうち、資本などの額を超過してしまう部分が発生すると、それが配当とみなされてしまいます。そうなるとその超過部分が課税の対象となります。ちなみに、税率は最高で48.6%となります。

一方で、会社が指定する買取人が買い取る場合は、売買金額と取得金額の差額、つまり譲渡益に対して譲渡益課税が課されることになります。譲渡益課税は税率20%です。

これらの留意点はあくまでも買い取る側の問題ですが、少数株式所有者も覚えておくといいでしょう。

少数株式を処分・買取する際のポイント

最後に少数株式を購入する段階から、処分する時までどのような点に気をつければいいのか、ポイントを解説します。非上場の企業に所属すると扱いが難しい少数株式を持つことになる可能性があるので、ぜひ参考にしてみてください。

売却の約束を取り付ける

ここまで紹介してきたように、経営に携われる可能性は低く、配当ももらえないケースもある少数株式ですが、所有するにあたっては、売却の約束を取り付けるようにしましょう。

例えば、会社が上場することを目指しているために、従業員も少数株主になっているのであれば、所有する目的は上場するためということになります。もし上場を果たすことができなかった(できそうにないのであれば)株式を持っておく目的がなくなってしまいます。

そういった事態に備えて株式を入手する段階で、所有する目的を確認し、目的がなくなった時には売却する旨を会社側と取り付けておくようにしましょう。そうすれば、メリットの享受できない少数株式をいつまでも所有しておく必要がなくなります。

専門家を活用する

少数株式を売却する場合、弁護士のような専門家を活用することは非常に有効です。少数株式は譲受人が見つかりにくいのが現状です。しかし、これまでに少数株式の案件を扱った経験のある弁護士なら買取に関心を持つ投資家とつながりを持っているケースもあります。また、それ以外にも具体的な対策を提案してくれるので、少数株式を処分できる可能性も十分にあるでしょう。

なお、弁護士といっても人によって得意分野は異なるので、依頼をするときは、非上場株式や少数株式の問題を扱った経験があるかどうかを確認するようにしましょう。

少数株式の買取を行っている会社も

少数株式を処分するための主な方法は、

・少数株主自らが譲受人を見つけて会社に承認してもらって譲渡する

・会社に直接買い取ってもらう

・会社が指定する買取人に買い取ってもらう

というものでした。

しかし、買取先はこれ以外にも存在します。それが少数株式の買取会社です。この会社は、その名の通り株式の買取を行っている会社であり、買取価格も株主と相談することができるので、少しでも高い金額で株式を処分できる可能性があります。

まとめ

今回は、少数株式の概要からその問題点、具体的な処分方法などについて解説しました。少数株式は基本的に経営に携わるのが難しい他、場合によって配当も受けられない可能性のある株式です。処分する場合は、譲受人を探して会社に承認してもらうか、会社や会社が指定する買取人に買い取ってもらう必要があります。処分できないものではないので、今回紹介した内容を参考に少数株式の処分に取り組んでみてください。

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