非上場株式・少数株式の買取り請求の方法は?

株主は、株式について譲渡制限が付いている場合(非上場株式・少数株式の場合)、株主には、株式の現金化(投下資本の回収)の方法はないのでしょうか?

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会社法上、譲渡制限株式(非上場株式・少数株式)の株主が、株式を第三者へ譲渡しようとする場合、売主は、会社に対して譲渡を承認することを請求しなければいけませんが、その際、会社が譲渡を承認しない場合は、①会社による買取り又は②買取人を指定することを請求(指定買取人の請求)することができます。

ですので、譲渡制限株式(非上場株式・少数株式)の株主は、その保有する株式を第三者に譲渡しようとする場合には、会社に対して、買い取りを求めることができるのです。

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非上場株式・少数株式の買取り請求をするためには株式の買取りをしてくれる第三者が必要という矛盾

非上場株式・少数株式の株主としては、株式の買取りをしてくれる第三者が存在するくらいなら、そちらに株式の買取をしてもらえばよいですので、そのような場合に、いまさら、会社に対して、株式の買取を求める必要はないのですが(株式買取請求権を行使する必要はないのですが)、会社法の不備だと思いますが、非上場株式・少数株式の株主においては、合併や会社分割に伴う株式買取請求権の行使や、株式併合の場合や全株取得条項付き株式の取得請求の場合やスクイーズアウトの場合のような特殊な場合(有事の場合)以外は、そのような場合しか、会社法上、株式買取請求権を行使することはできないのです。

しかも、株主による譲渡の承認の請求に対して、(1)会社が株式の譲渡を承認する可能性もありますし、(2)会社が、何も反応しない場合は、会社はこの株式の譲渡に承諾したとみなされます(会社法上、会社は株式譲渡承認請求のあった日から2週間以内に株主に通知することが求められており、2週間以内に株主に通知しなかった場合には、会社は譲渡を承認したものとみなされます)。

また、(3)会社が、株主の株式の譲渡の承認を拒否し、①会社による買取りを決定・通知したり、②買取人(指定買取人)の指定を決定・通知したり、する場合は、会社は、純資産価格方式に基づき株価を決定し、その金額を供託しなければなりません。この際、特に歴史の長い会社においては、長年の利益が積みあがっており、純資産価格方式に基づく株価は異常な高額となっていることもあり、そのような巨額の金額を供託することはできないとして、供託を諦め、会社が株式の譲渡を承認する可能性もあります。

なお、会社が買い取る場合には、譲渡不承認の通知から40日以内に、指定買取人が買い取る場合には、譲渡不承認の通知から10日以内に、株式買取代金を供託したうえで、株主に対して通知を行わなければ、会社が株式譲渡を承認したものとみなされます。

ですので、このような平時の場合、非上場株式・少数株式の株主が、会社に対して、株式買い取り請求をすることができる可能性は少ないのです。

やはり、譲渡制限株式(非上場株式・少数株式)の株主としては、株式の買取りをしてくれる第三者が存在するくらいなら、そちらに株式の買取をしてもらえばよいですので、そのような場合に、いまさら、会社に対して、株式の買取を求める必要はないのです(株式買取請求権を行使する必要はないのです)。

この点からも、いずれにしろ、非上場株式・少数株式の株主としては、株式を現金化(投下資本を回収)したい場合は、矛盾をはらみますが、その保有する株式の買取りを行ってくれる第三者を発見しないと事が始まらないということとなります。

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