少数株主権(非上場株式・少数株式の権利)一覧!
少数株主権一覧
非上場株式・少数株式を保有する株主は何ができるのでしょうか。
下記では、参考のため上場株式が少数株主権としてどのような単独株主権・少数株主権を保有しているか記載しています。
非上場株式・少数株式としては、これらの単独株主権・少数株主権を駆使して、株主権を保全するほか方法はなく、それにより、経営監視を行い、経営参加を実現する必要があります。
非上場株式・少数株式を保有する少数株主として、少数株主としての株主権を守るためどのような手法(単独株主権・少数株主権)を採用すべきか、どのような交渉をすべきか、またその場合、どのようなメリットが生ずるか、どのようなデメリットが生ずるかについては、これらの単独株主権・少数株主権その他の諸般の事情を考慮し、検討することが重要です。
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なお、ここでは、主として、非上場会社における単独株主権・少数株主権について記載しています。その他、非上場会社については、継続保有要件6ヶ月(※)は適用されません。
持分比率議決権割合 | 株主の権利・義務等 | 根拠法令・規則 |
単独株主権 | 定款閲覧謄写請求権 | 会社法(31条) |
単独株主権 | 株主名簿閲覧謄写請求権 | 会社法(125条) |
単独株主権 | 計算書類閲覧謄写請求権 | 会社法(442条) |
単独株主権 | 株主総会議事録閲覧謄写請求権 | 会社法(318条) |
単独株主権 | 取締役会議事録閲覧謄写請求権(裁判所の許可必要) | 会社法(371条) |
単独株主権 | 違法行為差止め請求権 | 会社法(360条) |
単独株主権 | 株主代表訴訟の提起権 | 会社法(847条) |
単独株主権 | 取締役会招集請求権 | 会社法(367条) |
単独株主権 | 募集新株式発行差止請求権 | 会社法(210条) |
単独株主権 | 株主総会等決議取消の訴え提起権 | 会社法(831条) |
単独株主権 | 募集株式の発行等の無効の訴え提起権 | 会社法(828条) |
1% or 300議決権 | 株主総会議題・議案提出権(継続保有要件6ヶ月※) | 会社法(303条) |
1% or 300議決権 | 株主総会議案通知請求権(継続保有要件6ヶ月※) | 会社法(305条) |
1% | 検査役選任請求(株主総会招集手続等)(継続保有要件6ヶ月※) | 会社法(306条) |
3% | 検査役選任請求(業務執行) | 会社法(358条) |
3% | 株主総会招集請求権(継続保有要件6ヶ月※) | 会社法(297条) |
3% | 取締役及び監査役の解任請求権(継続保有要件6ヶ月※) | 会社法(854条) |
3% | 会計帳簿閲覧謄写請求権 | 会社法(297条、433条、854条) |
5%超 | 大量保有開示義務 | 金融商品取引法(27条の23第1項) |
10% | 短期売買利益(6ヶ月以内)の返還請求権 | 金融商品取引法(164条) |
10% | 会社解散請求権 | 会社法(833条) |
15-20% | 持分法適用関連会社(実質的な影響力を有する場合) | 企業会計基準適用指針第22号 |
20% | 原則、持分法適用関連会社 | 企業会計基準第16号 |
25% | 相互保有株式(25%超を保有された会社の保有株式)の議決権が消滅 | 会社法(308条第1項かっこ書) |
33.4% (1/3超) |
市場外取引において買付後の所有割合が三分の一超となる場合には、公開買付(TOB)が義務付けられる ※ 市場内・市場外合計で3ヶ月以内に3分の1超の所有割合を超える場合は「一連の取引」と見なされ、適用される |
金融商品取引法(27条の2第1項2号) |
33.4% (1/3超) |
特別決議(2/3以上)に対する拒否権 | |
40-50% | 連結子会社(実質的な支配力を有する場合) | 企業会計基準適用指針第22号 |
50%超 | 原則、連結子会社 | 企業会会計基準第22号 |
50%超 | 株主総会普通決議(取締役・監査役選解任、取締役・監査役の報酬額決定、計算書類承認、剰余金の配当等、自己株式取得等) | 会社法(309条1項) |
66.7% (2/3超) |
株主総会特別決議(定款変更、主要子会社の株式譲渡、事業譲渡、組織再編、譲渡承認請求株式買取、株式併合、相続人株式売渡請求、募集株式の発行等、特定の者からの自己株式取得等) | 会社法(309条2項3項) |
少数株主権の内容
定款閲覧謄写請求権
第31条
1 株式会社は、定款を、その本店及び支店に備え置かなければならない。
2 株主及び債権者は、その営業時間内は、いつでも、次に掲げる請求(閲覧謄写等)をすることができる。
株主名簿閲覧謄写請求権
第125条
1 株式会社は、株主名簿をその本店に備え置かなければならない。
2 株主及び債権者は、株式会社の営業時間内は、いつでも、次に掲げる請求(閲覧謄写等)をすることができる。この場合においては、当該請求の理由を明らかにしてしなければならない。
3 株式会社は、前項の請求があったときは、次のいずれかに該当する場合を除き、これを拒むことができない。
一 当該請求を行う株主又は請求者がその権利の確保又は行使に関する調査以外の目的で請求を行ったとき。
二 請求者が当該株式会社の業務の遂行を妨げ、又は株主の共同の利益を害する目的で請求を行ったとき。
三 請求者が株主名簿の閲覧又は謄写によって知り得た事実を利益を得て第三者に通報するため請求を行ったとき。
四 請求者が、過去二年以内において、株主名簿の閲覧又は謄写によって知り得た事実を利益を得て第三者に通報したことがあるものであるとき。
計算書類閲覧謄写請求権
第442条
1 株式会社は、次の各号に掲げるもの(「計算書類等」)を、当該各号に定める期間、その本店に備え置かなければならない。
一 各事業年度に係る計算書類及び事業報告並びにこれらの附属明細書 定時株主総会の日の1週間(取締役会設置会社にあっては、2週間)前の日から5年間
二 臨時計算書類 臨時計算書類を作成した日から5年間
3 株主及び債権者は、株式会社の営業時間内は、いつでも、次に掲げる請求(閲覧謄写等)をすることができる。
株主総会議事録閲覧謄写請求権
第318条
1 株主総会の議事については、法務省令で定めるところにより、議事録を作成しなければならない。
2 株式会社は、株主総会の日から10年間、前項の議事録をその本店に備え置かなければならない。
4 株主及び債権者は、株式会社の営業時間内は、いつでも、次に掲げる請求(閲覧謄写等)をすることができる。
取締役会議事録閲覧謄写請求権(裁判所の許可必要)
第371条
1 取締役会設置会社は、取締役会の日から10年間、第369条第3項の議事録又は前条の意思表示を記載し、若しくは記録した書面若しくは電磁的記録をその本店に備え置かなければならない。
2 株主は、その権利を行使するため必要があるときは、株式会社の営業時間内は、いつでも、次に掲げる請求(閲覧謄写等)をすることができる。
3 監査役設置会社、監査等委員会設置会社又は指名委員会等設置会社における前項の規定の適用については、同項中「株式会社の営業時間内は、いつでも」とあるのは、「裁判所の許可を得て」とする。
6 裁判所は、第3項において読み替えて適用する第二項各号に掲げる請求又は第四項の請求に係る閲覧又は謄写をすることにより、当該取締役会設置会社又はその親会社若しくは子会社に著しい損害を及ぼすおそれがあると認めるときは、第3項において読み替えて適用する第2項の許可又は第4項の許可をすることができない。
違法行為差止め請求権
第360条
1 株主は、取締役が株式会社の目的の範囲外の行為その他法令若しくは定款に違反する行為をし、又はこれらの行為をするおそれがある場合において、当該行為によって当該株式会社に著しい損害が生ずるおそれがあるときは、当該取締役に対し、当該行為をやめることを請求することができる。
3 監査役設置会社又は委員会設置会社における第一項の規定の適用については、同項中「著しい損害」とあるのは、「回復することができない損害」とする。
株主代表訴訟の提起権
第847条
1 株主は、株式会社に対し、役員等の責任を追及する訴え、・・・を求める訴えの提起を請求することができる。ただし、責任追及等の訴えが当該株主若しくは第三者の不正な利益を図り又は当該株式会社に損害を加えることを目的とする場合は、この限りでない。
3 株式会社が第1項の規定による請求の日から60日以内に責任追及等の訴えを提起しないときは、当該請求をした株主は、株式会社のために、責任追及等の訴えを提起することができる。
4 株式会社は、第1項の規定による請求の日から60日以内に責任追及等の訴えを提起しない場合において、当該請求をした株主から請求を受けたときは、当該請求をした者に対し、遅滞なく、責任追及等の訴えを提起しない理由を通知しなければならない。
7 株主が責任追及等の訴えを提起したときは、裁判所は、被告の申立てにより、当該株主に対し、相当の担保を立てるべきことを命ずることができる。
8 被告が前項の申立てをするには、責任追及等の訴えの提起が悪意によるものであることを疎明しなければならない。
取締役会招集請求権
第367条
1 取締役会設置会社(監査役設置会社及び委員会設置会社を除く。)の株主は、取締役が取締役会設置会社の目的の範囲外の行為その他法令若しくは定款に違反する行為をし、又はこれらの行為をするおそれがあると認めるときは、取締役会の招集を請求することができる。
2 前項の規定による請求は、取締役(前条第一項ただし書に規定する場合にあっては、招集権者)に対し、取締役会の目的である事項を示して行わなければならない。
3 前条第3項の規定(※請求があった日から5日以内に、その請求があった日から2週間以内の日を取締役会の日とする取締役会の招集の通知が発せられない場合には、その請求をした取締役は、取締役会を招集することができる)は、第1項の規定による請求があった場合について準用する。
4 第1項の規定による請求を行った株主は、当該請求に基づき招集され、又は前項において準用する前条第3項の規定により招集した取締役会に出席し、意見を述べることができる。
募集新株式発行差止請求権
第210条
1 次に掲げる場合において、株主が不利益を受けるおそれがあるときは、株主は、株式会社に対し、第199条第1項の募集に係る株式の発行又は自己株式の処分をやめることを請求することができる。
一 当該株式の発行又は自己株式の処分が法令又は定款に違反する場合
二 当該株式の発行又は自己株式の処分が著しく不公正な方法により行われる場合
株主総会等決議取消の訴え提起権
第831条
1 次の各号に掲げる場合には、株主等は、株主総会等の決議の日から3箇月以内に、訴えをもって当該決議の取消しを請求することができる。
一 株主総会等の招集の手続又は決議の方法が法令若しくは定款に違反し、又は著しく不公正なとき。
二 株主総会等の決議の内容が定款に違反するとき。
三 株主総会等の決議について特別の利害関係を有する者が議決権を行使したことによって、著しく不当な決議がされたとき。
2 前項の訴えの提起があった場合において、株主総会等の招集の手続又は決議の方法が法令又は定款に違反するときであっても、裁判所は、その違反する事実が重大でなく、かつ、決議に影響を及ぼさないものであると認めるときは、同項の規定による請求を棄却することができる。
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募集株式の発行等の無効の訴え提起権
第828条
1 次の各号に掲げる行為の無効は、当該各号に定める期間に、訴えをもってのみ主張することができる。
二 株式会社の成立後における株式の発行 6箇月以内(非公開会社は1年以内)
三 自己株式の処分 6箇月以内(非公開会社は1年以内)
七 会社の吸収合併 6箇月以内
八 会社の新設合併 6箇月以内
九 会社の吸収分割 6箇月以内
十 会社の新設分割 6箇月以内
十一 株式会社の株式交換 6箇月以内
十二 株式会社の株式移転 6箇月以内
株主総会議題・議案提出権(継続保有要件6ヶ月※)
第303条
1 株主は、取締役に対し、一定の事項を株主総会の目的とすることを請求することができる。
2 前項の規定にかかわらず、取締役会設置会社においては、総株主の議決権の100分の1以上の議決権又は300個以上の議決権を有する株主に限り、取締役に対し、一定の事項を株主総会の目的とすることを請求することができる。この場合において、その請求は、株主総会の日の8週間前までにしなければならない。
株主総会議案通知請求権(継続保有要件6ヶ月※)
第305条
1 株主は、取締役に対し、株主総会の日の8週間前までに、株主総会の目的である事項につき当該株主が提出しようとする議案の要領を株主に通知すること(株主総会招集通知に記載し、又は記録すること)を請求することができる。ただし、取締役会設置会社においては、総株主の議決権の100分の1以上の議決権又は300個以上の議決権を有する株主に限り、当該請求をすることができる。
4 前3項の規定は、第1項の議案が法令若しくは定款に違反する場合又は実質的に同一の議案につき株主総会において総株主の議決権の10分の1以上の賛成を得られなかった日から3年を経過していない場合には、適用しない。
検査役選任請求(株主総会招集手続等)(継続保有要件6ヶ月※)
第306条
1 株式会社又は総株主の議決権の100分の1以上の議決権を有する株主は、株主総会に係る招集の手続及び決議の方法を調査させるため、当該株主総会に先立ち、裁判所に対し、検査役の選任の申立てをすることができる。
3 前2項の規定による検査役の選任の申立てがあった場合には、裁判所は、これを不適法として却下する場合を除き、検査役を選任しなければならない。
5 第3項の検査役は、必要な調査を行い、当該調査の結果を裁判所に提供して報告をしなければならない。
6 裁判所は、前項の報告について、その内容を明瞭にし、又はその根拠を確認するため必要があると認めるときは、第3項の検査役に対し、更に前項の報告を求めることができる。
7 第三項の検査役は、第5項の報告をしたときは、株式会社(検査役の選任の申立てをした者が当該株式会社でない場合にあっては、当該株式会社及びその者)に対し、同項の書面の写しを交付し、又は同項の電磁的記録に記録された事項を法務省令で定める方法により提供しなければならない。
検査役選任請求(業務執行)
第358条
1 株式会社の業務の執行に関し、不正の行為又は法令若しくは定款に違反する重大な事実があることを疑うに足りる事由があるときは、次に掲げる株主は、当該株式会社の業務及び財産の状況を調査させるため、裁判所に対し、検査役の選任の申立てをすることができる。
一 総株主の議決権の100分の3以上の議決権を有する株主
二 発行済株式の100分の3以上の数の株式を有する株主
2 前項の申立てがあった場合には、裁判所は、これを不適法として却下する場合を除き、検査役を選任しなければならない。
5 第2項の検査役は、必要な調査を行い、当該調査の結果を裁判所に提供して報告をしなければならない。
6 裁判所は、前項の報告について、その内容を明瞭にし、又はその根拠を確認するため必要があると認めるときは、第2項の検査役に対し、更に前項の報告を求めることができる。
7 第2項の検査役は、第5項の報告をしたときは、株式会社及び検査役の選任の申立てをした株主に対し、同項の書面の写しを交付し、又は同項の電磁的記録に記録された事項を法務省令で定める方法により提供しなければならない。
株主総会招集請求権(継続保有要件6ヶ月※)
第297条
1 総株主の議決権の100分の3以上の議決権を有する株主は、取締役に対し、株主総会の目的である事項及び招集の理由を示して、株主総会の招集を請求することができる。
4 次に掲げる場合には、第1項の規定による請求をした株主は、裁判所の許可を得て、株主総会を招集することができる。
一 第1項の規定による請求の後遅滞なく招集の手続が行われない場合
二 第1項の規定による請求があった日から8週間以内の日を株主総会の日とする株主総会の招集の通知が発せられない場合
取締役及び監査役の解任請求権(継続保有要件6ヶ月※)
第854条
1 役員の職務の執行に関し不正の行為又は法令若しくは定款に違反する重大な事実があったにもかかわらず、当該役員を解任する旨の議案が株主総会において否決されたとき又は当該役員を解任する旨の株主総会の決議が第323条の規定によりその効力を生じないときは、次に掲げる株主は、当該株主総会の日から30日以内に、訴えをもって当該役員の解任を請求することができる。
一 総株主(次に掲げる株主を除く。)の議決権の100分の3以上の議決権を有する株主(次に掲げる株主を除く。)
イ 当該役員を解任する旨の議案について議決権を行使することができない株主
ロ 当該請求に係る役員である株主
二 発行済株式(次に掲げる株主の有する株式を除く。)の100分の3以上の数の株式を有する株主(次に掲げる株主を除く。)
イ 当該株式会社である株主
ロ 当該請求に係る役員である株主
会計帳簿閲覧謄写請求権
第433条
1 総株主の議決権の100分の3以上の議決権を有する株主又は発行済株式の100分の3以上の数の株式を有する株主は、株式会社の営業時間内は、いつでも、次に掲げる請求(会計帳簿等の閲覧又は謄写の請求)をすることができる。この場合においては、当該請求の理由を明らかにしてしなければならない。
2 前項の請求があったときは、株式会社は、次のいずれかに該当すると認められる場合を除き、これを拒むことができない。
一 当該請求を行う請求者がその権利の確保又は行使に関する調査以外の目的で請求を行ったとき。
二 請求者が当該株式会社の業務の遂行を妨げ、株主の共同の利益を害する目的で請求を行ったとき。
三 請求者が当該株式会社の業務と実質的に競争関係にある事業を営み、又はこれに従事するものであるとき。
四 請求者が会計帳簿又はこれに関する資料の閲覧又は謄写によって知り得た事実を利益を得て第三者に通報するため請求したとき。
五 請求者が、過去2年以内において、会計帳簿又はこれに関する資料の閲覧又は謄写によって知り得た事実を利益を得て第三者に通報したことがあるものであるとき。
会社解散請求権
第833条
1 次に掲げる場合において、やむを得ない事由があるときは、総株主の議決権の10分の1以上の議決権を有する株主又は発行済株式の10分の1以上の数の株式を有する株主は、訴えをもって株式会社の解散を請求することができる。
一 株式会社が業務の執行において著しく困難な状況に至り、当該株式会社に回復することができない損害が生じ、又は生ずるおそれがあるとき。
二 株式会社の財産の管理又は処分が著しく失当で、当該株式会社の存立を危うくするとき。
ここから先の重要な実務上の留意点については来所相談で!
なお、この論点については、実際の運用時における留意点の方が重要であり、ここから先の重要な実務上の留意点については、来所相談又は実際受任時にのみお話しさせて頂きます!