株式譲渡承認請求の拒否と株式価格決定申立の方法・詳細・流れについて!

株式譲渡承認請求の拒否と株式売買価格決定申立の方法・詳細・流れについて!!

会社及び指定買取人と株式譲渡承認請求者は、株式の譲渡価格に関しては、交渉により決定するものとされていますが、交渉がまとまらなかった場合、裁判所に対して、株式価格決定申立ができます。株価決定裁判株式売買価格決定申立)です。

この株価決定裁判は、

①会社から会社が自己株式の取得を行う旨の通知を受け、株式譲渡代金(仮)の供託を証する書面の交付を受けた時、又は、②指定買取人から指定買取人が株式の買取を行う旨の通知を受け、株式譲渡代金(仮)の供託を証する書面の交付を受けた時、から「20日以内」に、株価決定裁判株式売買価格決定申立)を提起する必要があります。

「20日以内」に、株価決定裁判株式売買価格決定申立)の訴訟書類を作成するのは、かなりハードな作業であり、作業に要する時間に鑑みると、時間としてもギリギリです。「20日以内」に、株価決定裁判株式売買価格決定申立)を提起するのであれば、株式譲渡承認請求を受領した時点で、すでに決定しておかないといけないでしょう。

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簿価純資産価格で不満がない場合は株式売買価格決定裁判(株式売買価格決定申立)は不要!!

また、会社法では、この「20日以内」に株価決定裁判株式売買価格決定申立)の提起がない場合は、「一株当たり純資産額に対象株式の数を乗じて得た額」(簿価純資産価格)をもって、株式売買価格とする、旨定められています。

すなわち、株価決定裁判株式売買価格決定申立)も何もしなかった場合は、「一株当たり純資産額に対象株式の数を乗じて得た額」(簿価純資産価格)で、株式売買価格が自動的に決定するのです。

ですので、この「一株当たり純資産額に対象株式の数を乗じて得た額」(簿価純資産価格)に不満の場合は、その者が株価決定裁判株式売買価格決定申立)を提起する必要があります。

株式売買価格決定裁判(株式売買価格決定申立)と売買価格

また、株価決定裁判株式売買価格決定申立)において、裁判所は、譲渡等承認請求の時における株式会社の資産状態その他一切の事情を考慮しなければならない、とされています。

株価決定裁判株式売買価格決定申立)において、一般的には、裁判所において、株価鑑定人(通常は専門の公認会計士)が指名され、その株価鑑定人(通常は専門の公認会計士)が株式価値評価書を作成して提出しその金額が基準となり、裁判所の判断が行われます。

株価鑑定人(通常は専門の公認会計士)はたいてい、時価純資産法と収益還元法(簿価純資産法や類似業種批准方式などではありません)をバランスよく使用して株式価値を評価します。

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参考:会社法

(売買価格の決定)
第144条  第141条第1項の規定による通知があった場合には、第140条第1項第2号の対象株式の株式売買価格は、株式会社と譲渡等承認請求者との協議によって定める。
2  株式会社又は譲渡等承認請求者は、第141条第1項の規定による通知があった日から20日以内に、裁判所に対し、株価決定申立をすることができる。
3  裁判所は、前項の決定をするには、譲渡等承認請求の時における株式会社の資産状態その他一切の事情を考慮しなければならない。
4  第1項の規定にかかわらず、第2項の期間内に同項の申立てがあったときは、当該申立てにより裁判所が定めた額をもって第140条第1項第2号の対象株式の株式売買価格とする。
5  第1項の規定にかかわらず、第2項の期間内に同項の申立てがないとき(当該期間内に第1項の協議が調った場合を除く。)は、一株当たり純資産額に第140条第1項第2号の対象株式の数を乗じて得た額をもって当該対象株式の株式売買価格とする。
6  第141条第2項の規定による供託をした場合において、第140条第1項第2号の対象株式の株式売買価格が確定したときは、株式会社は、供託した金銭に相当する額を限度として、売買代金の全部又は一部を支払ったものとみなす。
7  前各項の規定は、第142条第1項の規定による通知があった場合について準用する。この場合において、第1項中「第140条第1項第2号」とあるのは「第142条第1項第2号」と、「株式会社」とあるのは「指定買取人」と、第二項中「株式会社」とあるのは「指定買取人」と、第4項及び第5項中「第140条第1項第2号」とあるのは「第142条第1項第2号」と、前項中「第141条第2項」とあるのは「第142条第2項」と、「第140条第1項第2号」とあるのは「同条第1項第2号」と、「株式会社」とあるのは「指定買取人」と読み替えるものとする。